福井におけるオリーブ栽培について(プロローグ)     洲浜三郎

私はハイム完成当初からの住人ですが、故あって現在は郷里である福井県でオリーブ栽培に取り組んでいます。そこでオリーブ栽培にあまり馴染みのない皆様にその一端をご紹介させて頂きます。

栽培に至る経緯と状況
北陸は西から福井、石川、富山の三県から成っています。この中の福井は西に若狭地区が、北東に越前地区があります。この越前地区の北東の東尋坊に近い九頭竜川河口に向け、海岸に沿って三里浜砂丘地があります。名の通り三里の砂浜です。
1970年に、福井県が福井新港とその周辺に工業地帯を造成することになり、農地の半分以上がこれらの事業に提供されました。1975年から農家の生業対策として残存農地を整備する土地改良が行われ、土地を平坦にして農道を整備し、また旱魃(かんばつ)対策のため揚水設備とスプリンクラーを設置する等によって、1985年には砂丘地に拘わらず潅水が可能な立派な圃場に生まれ変わりました。
元より当地は砂地で、ブランドの「三年子らっきょう」と西瓜が特産でした。これに加えて灌漑設備が整備されたお蔭で、大根が「三里浜砂丘地大根」としてブランド化されて、市場から高い評価を受けて高値で取引され農家の収益も飛躍的に改善しました。
然し、2000年代に入ると少子高齢化と就農人口の減少で、農地の不耕作地が増え徐々に荒廃が進んできました。その背景は、まずらっきょうの加工は機械化が難しくて人手によるところが多く、加工時期が米作地の農閑期に当たるため、この地区の年寄りの内職に依存していました。この為この人達の高齢化に伴って生産が減少してきました。また西瓜や大根は重量野菜として老人に敬遠される様になり、若年就農者が少なくなる中で生産が少なくなってきました。
この様な状況下にあって、不耕作地を無くし景観を回復させて地域の創生を図るために、灌漑設備を有して果樹栽培に適した砂丘地に比較的過重な労働を要しないオリーブを栽培に着目しました。その理由は、オリーブは近年食用オイルや化粧品等の健康志向の商品として人気が高いにも係らず、国産品は国内需要の1%にも満たない状況であり、今後成長産業として将来性が期待されることから栽培に取り組むことにしたものです。

2017年に国の地方創生推進交付金を活用して行政主導で試験栽培に取り組み、その結果を踏まえて翌年に30名の有志が集まって「三里浜オリーブ生産組合」を設立し、植樹を増やしながら栽培に取り組んでいます。
然しオリーブの木は、成木になって収穫が期待できるまでには8年程掛かるために、この間の資金や労働力の確保に苦労するため、行政の財政支援や、企業や有志の協賛金等を期待せざるを得ない状況にあります。
今年度末で、累計で約1,500本の植樹が行われ、その後毎年250本ほどを植樹して総数2,500本を栽培管理する予定で進めています。2~3年の苗木を植えていますので、来年度には搾油機を整備してオイルの搾油を徐々に始め乍ら商品化を図っていく計画です。
将来は、一帯をオリーブの観光農園にする大きな夢に向かって取り組んでいます。

本稿では、今年1年間のオリーブ栽培に関する主な活動とトピックスを、四半期毎(4、7、10、1月頃)に4回のシリーズとして紹介していきたいと思っています。

ホームページ:「三里浜オリーブカルメリーナ」https://www.sanrihama-olive-carmelina.com/
(カルメリーナは、庭園を意味するイタリア語に由来しています。)

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